■第416回支部研修会報告■
2月の支部研修会は、太田雅雄先生を講師にお迎えし、
「急性腰痛の処方」の講題でご講義いただきました。
【立位での観察】
左右に側屈したとき、
逆側痛なら比較的軽度で最近発症したもの、
同側痛は重度で発症も古いと観ます。
【調整】
受者は仰臥位。
上前腸骨棘の斜め上から中指薬指を主に使い、
腸骨筋、腰方形筋方向へと押し込んでいきます。
※受者が女性の場合は、卵巣を刺激しないよう 注意してください。
他方の手は重ねて安定させ、
筋肉の硬さに指が触れたところで圧定、弛むのを待ちます。
最初は受者の両膝は立てさせると指が入りやすく、受者も腰が楽。
その姿勢で調整をし、腸腰筋、腰方形筋などが十分弛むと、
伸ばせなかった両足が伸ばせるようになるので、
受者に納得をしていただけます。
両足を伸ばしたまま再び探っていくと
新たな硬さが指に触れるのでさらに弛めていきます。
太田先生は施術において、
治すのではなく「治る道すじをつける」ということを常に意識に置いているそうです。
その道すじに沿った、「腸腰筋、腰方形筋」「側腹」「仙骨」「上半身」などの調整や、
仰臥位になれない方向けに坐位・側臥位での調整、
またキネシオテープを用いた施術後のフォローなど、
時間を延長して、細部まで深くお話し下さいました。
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また、太田先生より、
当日お越しになられた先生方への補足を頂いておりますので紹介いたします。
第416回東京支部研修会補足説明
当日参加頂きました皆様、
私のような者の講義にお越し頂きましたことを、感謝申し上げます。
今回が416回目ということでしたが東京支部研修会の歴史の重さを感じました。
さて、お話ししました様に急性腰痛は開業当初に悩まされる大きな問題です。
腰痛の依頼が来るとビクビクしていたものでした。
なぜ治る人と治らない人がいるのかを疑問に思い、
どこかに最大傾斜圧のポイントがないかと探し、
とりあえず辿り着いたのが今回の腰方形筋抑制法でした。
お示ししたあの奥の硬い箇所に寛解の手応えを感じると
その時点で腰痛は改善に向かっていると思って下さい。
只し、皆様は私と同じ手技をする必要はまったく無く、
目的を達する事が出来ればどんな方法でもよろしいかと思います。
例えば、当日手刀での抑制についての質問がありましたが、
後日使ってみましたところ、力をあまり使わずに相当程度の抑制に成功する事が出来ました。
残った強張りは従来通りの手技で抑制しましたが体力の省エネに相当役立つようです。
(受者仰臥位で整者の重ねた手刀で上前腸骨棘より
腸骨稜を滑らせるようにL5方向に抑制しその後指先で圧しました。)
只、急性腰痛といっても内臓が悪かったりする場合もありますので、
広い観点での観察が必要です。
ソケイ部調整の際は腹部下部には迷走神経が密集してきますので
受者の反応を感じながら調整を行う必要があります。
それから、シンスプリントについて駆け足でお話しさせて頂きましたが若干補足致します。
シンスプリントは陸上競技やサッカーなど比較的走るスポーツに多く発症する
下腿部に炎症や挫傷がおこるものです。
多くは練習量が多すぎる為で、前脛骨筋や後脛骨筋付近に痛みが出ます。
練習量と成績向上は比例する部分があるので指導者サイドは頭を悩ませているようです。
施術の依頼が来た時には
当日お話しした方法で痛みの箇所から指一本離れた箇所から極柔らかい刺激での調整を試みてください。
炎症があるので細心の注意が必要です。
痛い刺激は避けて下さい。
可能であれば練習を中止してもらうと施術する側は楽です。
また、痛みがあまりにひどい場合は
ご本人に(中学生や高校生の依頼が多いと思いますのでその場合は保護者に)
疲労骨折や筋断裂の可能性を一応お話ししておいた方が宜しいかと思います。
2回目にいらしてまったく変化が無い場合はレントゲン等を撮ってもらった方が安心できます。
ちなみに同操法は下腿の疲労蓄積改善に非常に良く効きます。
膝の操法につきましては大変重宝しております。
通常は変形性膝関節症などにも一定以上の効果が認められますが、
1回でどうこうしようと思わずその旨説明しながら進めると宜しいかと思います。
リューマチの方や水が溜まっている方には手技を選択の上、
より細心の注意をはらって操作する必要があります。
又は手技操作しないことも選択肢にあります。
(当日のテキストの訂正箇所:観察の10欄 胸鎖突筋 → 胸鎖乳突筋)
以上補足致します。
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■3月の予定■
(1)3月の支部研修会
昨年に行われた西脇幸宏先生による「相関関係を見つめる」は、
身体における様々な相関関係とその応用についてを学ぶ事ができ、
その講義内容は大変好評でした。
相関関係については、臨床において古くから均整法と切り離せないものとなっております。
均整法には様々な手技があります。
原理原則を踏まえたうえで体型を観察し、
その様々な手技を運動制限の解除の為に使用します。
そうして体型調整・主訴の解決を目指します。
しかし、臨床の場合において、
その様々な手技という複数の「点」と体型調整という「点」を結ぶ「線」が見つからなく、
施術の手が止った経験をした事がある方は多いかと思います。
相関関係は、その線となりうるものだと思います。
均整法でよく云われる「患部から離れた箇所から手をつける」等といった方法は、
相関関係の考えがあってこそ行えるのではないでしょうか。
今回は「相関関係を見つめる その2」と題しまして、
西脇幸宏先生に昨年の続きとなる講義をお願いいたしました。
どうぞお楽しみに。
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3月の研修会は、場所が
通常と変わります。御注意ください。
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・日 時 3月16日(日)
・場 所 代々木上原社会教育会館
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/shakyo/sk5_uehara.html
・時 間 午後1時〜午後4時50分
・講 師 西脇幸宏先生
・講 題 相関関係を見つめる その2
・料 金
○東京支部会員・養成講座の学生=¥2,000
○他の支部会員・他の会の均整師=¥3,000
○一般の方 =¥6,000
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■東京支部自主活動情報■
(1)均整倶楽部活動報告
「第29回幡ヶ谷社会教育館文化祭」
例年に続き、去る2月24日に渋谷区幡ヶ谷社会教育館において開催された
幡ヶ谷文化祭に今年も参加しました。
今回は6名の均整師により15名の施術を行い¥7,500の売り上げがありました。
そのうち経費などをのぞく金額を渋谷区の社協に寄付する予定です。
お忙しい中を参加された先生方、お疲れさまでした。
また、幡ヶ谷祭り準備連絡会議から出席してくださっていた木内先生。
この場をお借りしまして御礼申し上げます。ありがとうございました。
均整倶楽部は地域社会への参加、均整法の普及を、こうした活動を通して実践し続けます。
参加者(敬称略)木内登喜子、小酒井外紀、秋島香、菅原賢二、田川直樹。
手技研究会の植松先生、小酒井先生のお嬢様、玲衣香さん
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(2)第171回手技研究会
・日 時 3月20日(木)午後5時半〜9時位
・場 所 中野区大和町1-65-4増田ビル2F
ザ・均整法せいたい
http://map.goo.ne.jp/map.php?
MAP=E139.39.13.190N35.42.23.350&P2=3201E139.39.13.190N35.42.23.350&flg=1
・講 師 宮川幸次郎
・内 容『背愈穴調整(脊髄神経反射の入口・出口)経絡・募穴も含む 』
・問合せ 池田勝
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(3)手技勉強会
受者・整者・第3者が納得する「3つの納得」の為を目標に、
実際にクライアントを招いての実技を実践しています。
受者の施術料は、事故発生時に賠償保険の対象にするために、
初回〜3回まで1,000円、4回以降3,000円を徴収しております。
・日 時 毎週木曜日10時〜21時(但し毎月3回目の木曜に限り10時〜17時)
・場 所 手技研究会と同:ザ・均整法せいたい
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■師会より健康博覧会報告■
東京支部の先生方からは、
今年も健康博覧会に数多くのご協力を頂きありがとうございました。
今年はベッドのみによる体験施術とし、
均整法を見ていただく事を主な目的としました。
ビラ撒きも通年より控えめに行い、
参加された先生方も、他の先生の施術をゆっくりと見学し勉強できる場となった事と思います。
出展の旨を師会のHPへ早くより掲載していた為、
学園や均整法そのものに興味を持ちブースまで足を運んでくれたゲストの方も多く、
また、施術者派遣業務会社からの問合せなども多数あり、
収穫のある参加だったと思います。
諸事情により、今年で健康博参加は最後となります。
最後まで参加していただいた先生方へは重ねて感謝を申し上げます。
長きにわたり、おつかれさまでした。
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■あとがき■
近所を歩き、花の匂いに包まれながら鳥の声に耳を澄まし、
ふわ、とあくびをする。
なんて美しい季節だろうと青い空に頭など下げたくなります。
そんな季節の所為にするつもりはありませんが、
今号も制作発送が遅れてしまい、
研修会の案内も充分にお届けできず、
四方八方に頭を下げる事態になってしまいました。
相関関係の講義紹介の記事を書いている時、ふと思ったのですが、
相関関係って何だろうと考えているうちにひとつ思い当たる事がありました。
例えば、子供はどこかに足をぶつけて痛みを感じた時、
「痛い!」と泣き出します。
それは「痛い事」と「痛い!と声をあげる」の間に相関関係があるのだと考えました。
そして痛がる子供を楽にする為に、
ママは「痛いねえ、ぶつかっちゃたね、でも大丈夫、痛くないよ」という声をかけてあげます。
子供はもう痛みを感じていず、何事もなかったようにまた遊びを始めました。
この事は、痛い事を変化させる為に「痛い!」という声に対し共感したうえで
「大丈夫」という声をかけ調整したといえるでしょう。
臨床における相関関係もこのようなものなのではないでしょうか?
西脇先生、どう思われますか?
研修会、楽しみにしております。
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健康博や、均整倶楽部など、
多くの先生方とともに初めて出会う方々を施術する事は、とても勉強になります
そこで、先輩方の技術をちらちら盗み見しながら、
たった1度だけ施術するだけの出会いのなかで
満足を相手に与える経験はなかなかできるものではありません
参加くださった先生方、本当にありがとうございました。
また何かありましたら是非ご一緒させてください。
よろしくお願いいたします。(矢作) |