■11月の予定■
(1)11月の支部研修会
東京支部長 深沢 功
11月の支部研修会は「くつろぎ傾斜圧」がテーマです。今年は個別の技をテーマにしていますが、くつろぎ傾斜圧は、そうした個別の技、例えば心臓、肝臓などの臓器という臓器のくつろぎ姿勢の観察法と調整法が網羅されています。
今年のテーマに沿う内容でもありますが、そればかりではなく、均整法の体系を理解する上で重要な概念でもあると思っています。しかし、残念なことに私たちの学園の授業では教えられてきませんでした。
その理由は、身体均整法学園は最初に京都で始まりましたが、その時の卒業生の方々より「均整には技が多すぎて何を学んだのかサッパリ分からない」という意見が数多く出ためです。
そこで、身体均整師会の会長も務められた故蛇見孝先生や、大村慶人先生、当時京都支部長の中山一俊先生が中心となり教科書作成委員会を立ち上げ、現在の教科書とカリキュラムがつくられたのです。
私は、そのカリキュラムに「くつろぎ傾斜圧」「身体異常観察法」「投影姿形」「相関関係」などが抜けていたため、それを含めるべきだという意見を述べましたが取り入れられませんでした。
スクーリング出身の蛇見先生の意見が重く取り入れられ、実戦向きのカリキュラムに成ったのだと思いますが、この傾向は同期の仲間達も蛇見先生と同じ見解のようで、私の意見は当時としてもかなり異端だったようです。姿勢保健均整専門学校の教え方が素晴らしいと言ったのは私くらいなものでしたから。
しかし、私より前に学園で均整を学んだ方々の開業率は比較的高いのにくらべ、私たちの会の学園の卒業生の開業率が低いように思えてならないのです。例えば、私と同期の卒業生の70%は現在も開業していますし、4人支部長が生まれましたが、現在では20%くらいなものでしょう。
開業率が年々下がっているのは時代の趨勢もさることながら、均整の多岐に渡る技に目を奪われ、体系づけることができなくなっているのも一因のように思えます。枝葉ばかりで幹がないのです。
くつろぎ傾斜圧、身体異常観察法、投影姿形、相関関係だけでは、とても充分とはいえませんが、そうした幹になるべき概念の技術だと思うのです。これを学ぶと学ばないのとでは均整法の理解の深さに違いが出てくのではないかと考えています。
今後の東京支部の研修会で、この幹となる技術の研鑽も行おうと思ってますが、今回の「くつろぎ傾斜圧」はその第一弾となるものです。ご期待ください。
※以下のテキストを使用します。お手持ちの方は持参ください。
均整講座集第5集(第2版の場合は第4集)
講座集第12号 くつろぎ傾斜圧
その他、野村ノートで該当するもの。
また、姿勢保健均整専門学校の教科書「くつろぎ傾斜圧」でも可
・日 時 11月14日(日)
・場 所 笹塚区民会館
・時 間 午後1時〜午後4時50分
・料 金 無 料
『笹塚区民会館』
渋谷区笹塚 3-1-9
電話:03-3377-1060
交通:京王線 笹塚7分
交通:バス[渋63][渋67]
[渋68][宿41]
[宿45]系統
「笹塚中学」2分
■第447回支部研修会報告■
10月の支部研修会は身体均整法研究会として、2つのテーマを勉強しました。
1)触診学「骨盤・頸椎編」
今回は骨盤及び頚椎の検査を行うときに必要な部位の触診練習を行いました。
骨盤については「上後腸骨棘・仙骨孔・仙骨尖・坐骨・尾骨」、頚椎については「C1横突起・C2〜7棘突起・C2〜7関節突起」です。
これらの部位を正確にとらえ、椎骨、または腸骨や仙骨を前後・左右・回旋方向に動かし、変位を細かく検査できるようになることが目標です。
骨の触診にしぼって練習することで、筋肉や腱、靱帯、内臓などとの感触の違いも識別できるようになります。
次回は、8月の「胸椎・腰椎編」を再び行い、その次はまた「骨盤・頸椎編」と、しばらくは同じ内容を交互に行います。
繰り返し型の研修なので、途中参加、不定期参加も可能です。毎回触診手順を説明しますので、その回が初参加の方もご安心下さい。
今年度の残りと来年度にかけて、触診力を確実に身につけていきましょう。
2)「呼吸について」〜夏の疲れ・冬に備えて〜
夏から秋へなど、ちょうど季節の変わり目に開催される研究会では、漢方理論をもとに、その季節によく遭遇しやすい臨床例を持ち寄り、参加者全員で研究していこうと試みています。
例えば今夏の猛暑の影響が秋にどのような症状として出てくるか、また冬の症状への備え方などです。
今回はその前に、季節の病を考える際の大もとを押さえておこうと、深澤先生による「黄帝内経素問」をテキストにした季節の考え方、福田先生による「土用」の考え方の講義を中心に研修しました。
まずは講座集復刻版データベースから、季節に関する操法を抽出して検討しました。
多く見られるのは「夏は消化器がいちばん疲れるので消化器型、冬は回旋型調整がよい」との記述。これら季節を分ける土用は1年のうち4回ありますが、表鬼門にあたる「夏の土用」を中心に考えるとよいという意見もありました。
鏡八重子先生もこの時期の臨床ではよく「夏は左右型だけだったのに、土用を境に捻れが入ってきた」と観察されます。
講師を立てずに、全員参加型の研究会です。ベテランの先生からは、漢方の使えそうなところだけをピックアップしようとせず、ある程度の期間腰を据えて、漢方を基礎から学ぶことで均整の理解がより深まるのではないか、等、貴重なご意見をいただきました。(レポート:田川)
■今後の支部研修会■ 本年度は主に第2週の日曜開催となります。
・12月12日(日)
講師:村松陽一先生
内容:全国講習会のおさらい
研修会後に忘年会を開催いたします。
■東京支部自主活動情報■
(1)第199回手技研究会
・日 時 11月18日(木)17時位〜21時位
(毎月3回目の木曜日に開催しております)
・場 所 中野区大和町1-65-4増田ビル2F
ザ・均整法せいたい
・問合せ 池田勝
・参加料 ¥1,000
(2)手技勉強会
受者・整者・第3者が納得する「3つの納得」の
為を目標に、実際にクライアントを招いての実技及
び実技指導を実践しています。
受者の施術料は、事故発生時に賠償保険の対
象にするために、初回〜3回まで1,000円、4回
以降、3,000円を徴収しております。
・日 時 毎週木曜日10時〜21時(但し毎月3
回目の木曜に限り10時〜17時位)
・場 所 手技研究会と同:ザ・均整法せいたい
・参加料 無料
(3)均整倶楽部
今年で7回目の参加となりました。
今年は木枯らし1号が吹いた昨年と違い、天
候に恵まれ、台東区入谷南公園での青空均整
は、本当に清清しい一日となりました。
やはり天候にも影響するようですが、昨年
の施術者数50名に対し、今年は92名となり
ました。
参加していただいた先生、学生さん合わせ
て18名。収益金は22,100円となります。台東
区社会福祉協議会に3,000円を、15,000円を奄
美大島へ寄付、4,100円を活動費としてストッ
クいたします。
さて、今年の『ひろば祭り』の感想を木内
先生と、22Aの村山さんにお聞きしました。
「ひろば祭りでのひとこま」
木内登喜子(東京支部副支部長)
腰を曲げ身体を左に傾け、靴下は左右違う
色で、お酒でも入ってるのかな…と、感じた
お年寄りを担当しました。主訴は…長いこと腰が痛い。
くつろぎから確認したが、立位も傾いたま
まで、痛みが検出出来ない。暫くして悩梗塞
をして退院して来たばかり、とわかった。
手に負えないから、村松先生の魔法をかけ
て貰おうか!と、思ったが、忙しそう…
とりあえず座位にて、背部から私なりに診
たくつろぎをとり、足と手を中心に挑戦。
右足肝経〔得に拇趾裏〕に過敏を検出、膝
裏〔委中〕・左背部胃の裏に硬結があり、
緩めました。
腰は腎臓関連をしただけで、最後に背骨変
異を、刺激の少ない三軸操法にて修正。肩の
ラインが揃ってきたところで、立っていただ
いたら、背丈が伸びていました。
お年寄りも背丈がのび、スッキリした。と、私
の肩を揉んでくれました。
村山水恵 (身体均整法学園22A)
「みんなのひろば祭り」に在校生として4名
で参加し、受付などのお手伝いをさせていた
だきまして、誠にありがとうございました。
イベント自体、天気にも恵まれ大盛況でし
たが92人の方が施術を受け先生方は15人。超
ベテラン陣から今回デビューの方迄バラエテ
ィー豊かでしたが、15分程度座位という制約
の中きちんと結果をだされ、大好評で、中に
はすごく楽になったからと友人や家族を連れ
てくる方や、ご指名等、技が人を呼ぶ事と口
コミパワーを目の当たりにしとても有意義な
1日でした。私達も今は覚えるだけでも必死
ですが、一日も早く先生方のようになれるよ
うがんばりたいと思います。
■東京支部より■
支部研修会を考える(その4)
東京支部長 深沢功
しばらく休んでいた、支部研修会とは何か 「支部研修会を考える」を再開します。というのも、10月の支部研修会で少しギクシャクした事が起こったからです。10月は全国講習会の関係もあって研修会というよりも、研究会という形で、日頃の疑問を考えてみようということにしていました。
今回は暑い夏を経験したので、季節の変わり目の症状について考えようということにしました。当然として五行や土用の関係も考えられます。まー、そんなテーマでガヤガヤやってみようと思ってました。そこへ均整卒業23年という、私と同期
のT先生がひょっこり現れました。そして。T先生を交えて研究会は進行しました。しかし、後半になり意見が入り乱れた頃、T先生から、
1、漢方に学び方が浅い。土用についての見解が未熟。もっと基本から学ぶべきである。
1、椎骨の観察で触診の仕方とリスティングでは発見できない。また、椎骨の変位は修正すれば良い様に考え易いが、それでは事故を起こし易い。
1、症例等の施術問題懇談ついては、診断法なのか治療法なのか目的が曖昧。もっと診断学についての勉強をきちんとすべきだ。
1、構造医学をしっかり時間をかけて学ぶべきだ。いずれを勉強するのも10年、20年と腰を据えて学ばなければならない。
以上の提案を頂きました。いずれもその通りだと思うのですが、さて、それを支部研修会の8回から9回の研修の場で実現しようとすると、はたと困ってしまいました。とてもその時間では消化しきれません。ということで「支部研修会とは何か」ということを、再び考えざるを得なくなりました。
現実的に考えると、結論になってしまいますが、支部研修会では突っ込んだ勉強はできないのだと思います。そうした勉強は、あくまでも個人個人が、しかるべき先生につくなり、自分でコツコツ勉強するなりしなければなりません。T先生も、漢方、構造医学等を20年かけて学んだそうですから、あくまでも支部研修というのは、そのきっかけを作る場なのではないかと思ってしまいます。
これが、地方支部のように優れた先生の元に一つにまとまっていれば、ある方向に向けて、そうした追求も可能だと思いますが、東京支部のような200名以上の会員がいる大所帯で、また、いろいろな方面(骨格、漢方、12種…)の技術を指向する先生方がいる支部で、一つのことだけを、例えば漢方のみを何年も勉強していたのでは、そちらに興味のない先生には来てもらえないことになってしまいます。
もう一つの問題は、支部研修会は、ベテランの先生が学ぶべき場ではないのだろうということです。支部研修会は、身体均整法学園卒業後、数年の先生方が主な対象者ではないかと、つくづく考えさせられました。T先生のような20年選手は対象ではないのです。
初等数学が必要な人たちに、いきなり高等数学を教えても身につきません。高等数学やそれ以上を求めるベテランの先生方には、学園卒業後、数年の先生方が主な対象とする支部研修会では満足してはもらえないと思います。
このように考えてみると、つくづく誰もが満足する研修会を開くことは至難の事のように思えます。そこで開き直って、支部研修会の対象者は初級ないし中級の先生方として、ベテランの先生方は支部研修会を学びの場としてくるのではなく、新人に教える場として参加する、というようにしてはどうでしょうか。そうです、ベテランの先生方は支部研修会に勉強に来ては行けません。むしろ、初級者、中級者を導く為に出席すべきです。
「それが俺に何のメリットがある」と思われる方もいらっしゃると思います。そんな方は想像してみて下さい。お風呂のお湯を自分の元に引き寄せようとするよりも、自分のお湯を他所へ押しても、再び自分の元に戻ってくる事を。富というのは、引き寄せるよりも出した方がより大きく戻ってくるようですから。「めぐみ」は「めぐる」ことにより与えられるのだと思います。東京支部の「ともに生きる」精神です。
どうぞ、ベテランの先生方、たまには研修会に出席し我々を導いて下さい。新人のレベルアップは師会のレベルを上げ、しいては「世のため人のため」になり、われわれの地位の向上にも役立つはずですから。
ただ、T先生の提案は大事です。それを支部研修会では実現できませんが、サブ研修会というのをこしらえて、例えば午前中の2時間を利用して、一つの課題を一年がかりで追求することはできるかもしれません。その時の問題は、今の支部のスタッフでは手一杯でそこまで手を広げる事はできません。ベテランの先生方のどなたかがサブ研修会を引き受けて下されば可能のような気もします。今後の課題です。
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