■第413回支部研修会報告■
観歪法のテキストの頁を捲りながら首をかしげ「あれ、これ僕の字じゃないか!」と一言。
現在養成講座で使用されている、
グリーンの表紙の観歪法にはたくさんの手書きの文字が細かく書き込まれています。
11月23日の支部研修会は、
お父様の坂本末広先生が編集されたその観歪法のテキストを研究し書き込みを後に加えた、
日本姿勢保健均整師会会長の坂本元一先生を講師に迎えました。
『脊髄神経反射法』の講題で、
脊髄神経反射法と経絡反射法、そして運動系調整の三つは、
このようにひとつにつなげられる、という理論と実技をご講義いただきました。
この理論は我々均整師にとって、大変重要なものである事を、
会場にいた全ての方が講義の開始から5分で感じた事かと思います。
何故フォーム1、2の異常は1側に現れるのだろう、
そしてフォーム3、4は何故、5、6は・・・
という疑問を持った方は会場内にもたくさんいたと思います。
体を前後に動かしてみると、1側がスライドし、
左右に動かすと椎骨は回転する為に回転させる起立筋は2側にあります。
回旋の動作をする時はその起立筋の外側にしわよせがくるという事がわかります。
それを参加者の体を使って講義して頂きました。
そしてそのまま講義は動作と経絡の関係へと続きます。
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◎回旋動作と脾経
回旋型の関連椎骨であるD11は経穴でいうと脾兪にあたります。
足の母趾にある脾経の井穴「隠白」に軽く触れると、回旋動作の乱れが整う事がわかりました。
これにより経絡反射が運動系調整に結びつくことを確認できました。
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◎回旋動作と肝経
腹部の観察では肝臓の緊張がみられ、観歪法で肝臓に該当する椎骨にも可動性欠如。
立位では後屈動作がきつい受者。
肝経の太衝を使い、肝経ラインを調整することで、肝臓の緊張は弛み、
該当椎骨の可動性が回復、後屈動作もスムーズになった。
経絡反射が関連椎骨などの運動系調整にもなり、
臓器(内界)の調整にもなることを確認。
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◎左右動作・骨盤の調整
左右動作であれば、腎兪であり左右型の関連椎骨のL2を腎経の照海を、
横座りの癖が強い人は骨盤を整えるために
大腸兪であり骨盤型の関連椎骨のL4を大腸経が走行する示指で調整します。
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このように経絡反射によって、
臓器や運動系がどのように変わるかを、様々な例でご紹介いただきました。
これまで上記の三つをそれぞれバラバラに使いがちだったなぁと、
改めて認識し直した方も多かったのではないでしょうか。
個人的な成果で恐縮ですが、
今回の研修翌日に来院された、出産後の恥骨結合離開にお悩みで、
運動系調整のみではあと一息というお客様に対して、
肝経ライン調整でよい結果を出すことができました。
研修後は、坂本先生を囲んでの懇親会。
「痛みの処方」の正捻転、逆捻転についてなど、
この日の講題以外にも興味深いお話をたくさん伺うことができ、
午前10時からの研修だったにもかかわらず、一日がとても早く感じました。(田川記)
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■亀井師範の言葉■
定義:均整法での経絡刺激法(於・昭和三十四年三月一日 東京支部研修会)
一般に経絡そのものが作用するのではない。筋肉を通して作用するのである。
「目の充血には大腸腺を抑制せよ」と書いてある。
大腸腺に向かって運動系を抑制するような作用を起こさせればよい。
大腸腺は伸筋側にある。
その伸筋調整を、つまり大腸腺に沿う抑制刺激を押すなりしゃくるなり加える。
場所はどこにせよというのではなく、
大腸腺そのものにそういう作用を起こさせればいいのである。
だから経穴点に拘泥する必要はない。
経穴にあまり拘泥しない。経絡の腺を重要視する。そこが鍼灸と違う。
「腺」とは手でやる場合のことである。
「経」は鍼灸で行うときということで、「腺」と「経」に分けた。
均整法で経絡を使うのは形を変えるために使うのであって鍼灸の場合とは違う。
どの経絡腺を調整しても運動系がそれに反応を示して、形が変化として現れてくるところに特色がある。
経絡腺というものが運動系にいかに作用するかというものを、
つまり経絡の新しい使い道を開いたものと確信している。
運動系反射の場として扱うと経絡というものが見事に活動する。
―基礎テクニックについて―
手首に経穴がよくある。
関節の一番よく動くところに重要なものがある。
だから経絡は日常活動することによって元気付けられたり、
抑えられたりするようなものがあるのだとみている。
だから、経絡を運動系の一種として扱う。
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■12月の予定■
(1)12月の支部研修会
12月の支部研修会は、講師に宮川幸次郎先生をお迎えして提供いたします。
支部の相談役でもいらっしゃる宮川先生は、
長きにわたり東京支部、均整師会の発展に貢献されてこられました。
また、後進の均整師の為に多くの労と時を惜しまずに尽力され、
そして多くの鍛練の場を提供し続けてこられました。
今回は宮川先生に、原穴を使った経絡操縦法をご講義いただきます。
宮川先生が施術者として歩んでこられた長い道のりのなかで、
執心し体得された経絡操縦法を、平成19年の最後を飾る支部研修会にてご講義いただきます。
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【原穴による経絡操縦法】
均整法では、五行穴を応用した経絡操法がよく使われますが、
その数はとても多く、施術に応用するにあたり多くの知識と経験を必要とします。
そこで今回の研修会では、
たくさんの方が扱いやすい、体の末端にある原穴を使った操法を講義頂くことになりました。
大変貴重で重要な講義となります。どうぞ御参加ください。
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・日 時 12月16日(日)
・場 所 笹塚:笹塚区民会館
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kmkaikan/km_sasazuka.html
・時 間 午後1時〜5時
・講 師 宮川幸次郎先生
・講 題 原穴による経絡操縦法
・料 金 ○東京支部会員・養成講座の学生
=¥2,000
○他の支部会員・他の会の均整師
=¥3,000
○一般=¥6,000
※研修会後に恒例の忘年会を開催します。
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■今後の支部研修会■
◎1月20日(日)
講師:田川直樹先生
講題:「調整の流れ:技が効かない!どうする?」
◎2月11日(月祭)
講師:太田雅雄先生
◎3月16日(日)
講師:西脇幸宏先生
講題:「相関関係を見つめる・その2」
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■東京支部自主活動情報■
(1)第168回手技研究会
・日 時 12月13日(木)午後7時〜9時
・場 所 中野区大和町1-65-4増田ビル2F
ザ・均整法せいたい
・講 師 池田 勝/金井周二
・内 容『高円寺マニュアル2・膝突き・捻転』
・問合せ 池田勝
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(2)手技勉強会
受者・整者・第3者が納得する「3つの納得」の為を目標に実践しています。
受者の施術料は、初回〜3回まで1,000円、4回以降3,000円。
事故がおきた時に無料の場合は賠償保険の対象にならないためにこのようにしています。ご了承ください。
・日 時 12月13日(木)10時〜18時
12月20日(木)10時〜21時
12月27日(木)10時〜21時
・場 所 手技研究会と同:ザ・均整法せいたい
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■東京支部よりお知らせ■
(1)第1回臨床見学会
1月、2月に実地される『臨床見学会』の受付を締め切りました。
次回は太田毅先生の臨床を見学させていただく予定となっております。
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(2)メール配信・支部HPについて
この支部便りをメール配信で受け取られている方は、
知りあいの先生へもメールによる配信に変更していただけるよう是非紹介してください。
メール配信を増やす事により、郵送料等の節約が可能となります。
担当の矢作まで「メール配信希望」の旨をお知らせ下さい。
また、東京支部にはHPがあります。
支部便りのバックナンバーの配信や、支部会員のHPへのリンク集が掲載されています。
ご覧になられていない方は是非1度のぞいてみてください。
そしてHPをお持ちの方は是非リンクをよろしくお願いします。
本部への一般からの問い合わせは各会員のHPより辿ってこられる方が増えております。
支部研修会への一般参加も今後は増えていくでしょう。
http://www.kinsei.ne.jp/tokyo/
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(3)会員動向
◎千葉支部への移籍
山本喜久雄先生
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■あとがき■
この度の研修会では、養成講座を卒業後、開業をして数年を重ねた私が、
原理原則のルーツに触れ、初めてそれを実技に結びつけて理解する事ができました。
養成講座のカリキュラムでは、多くの点を学んだのだと思います。
そして坂元先生の講義ではその数多の点を結ぶ線を学ぶ事ができました。
10月に引き続き、11月も外部講師をお招きして研修会を開催いたしました。
しかし、外部講師とはいっても亀井師範とともに身体均整法を研究し世に広め、
技術や原理原則を受け継ぎ、工夫を重ねてこられた身体均整法の大先輩です。
亀井師範の元に集って出来た組織は、現在、様々な形に別れて点在していますが、
所属する会は違えど元来は席を共にして同じ方向を目指していました。
編者など、均整師会がどのような道を辿ってきたのか、
その歴史に触れた事がない均整師は、年々その数を増やしています。
その技術とともに受継ぐべき歴史は確かにあり、
そしてまた新しい風も、確かに身体均整法の名のもとに吹いていると感じました。(矢作) |