統合医療の現状
太田雅雄(理事)前回の御報告では、今年1月の鳩山前総理の施政方針演説を受け、厚生労働省のなかで統合医療にむけた作業が進みつつあることを紹介しました。要約しますと、次の2点になります。
- 統合医療は、従来の西洋医学に加え、漢方や自然療法を取り入れた医療を指す。
- このためにプロジェクトチームを設置し、近年扱った統合医療に関する要望書や予算事業、研究課題などを情報収集し効果や安全性について検証分析する。
その後、4月に厚生労働省のプロジェクトチームに動きがありました。今回は、そのことをお伝えします。なお現在、一般社団法人身体均整師会は、日本統合医療学会へ賛助会員としての入会を申請しているところです。
【会合の概要】
統合医療の有識者である日本東洋医学サミット会議(JLOM)の寺澤捷年議長と日本統合医療学会の渥美和彦理事長から、「統合医療の現状と課題」について聞き取りがおこなわれました。あわせて関係省庁の情報交換、今後の取り組みについて具体的に検討が進められたようです。【寺澤議長からのお話】
- 漢方を軸とした統合医療には有用性があること。
- JLOMとして漢方方剤の二重盲検臨床比較試験や症例集積研究を行っていること。
- このほか生薬の成分分析、薬理作用の評価、漢方医学で捉えられている病体の化学的解明などの研究を進めていること。
- 「国民の健康増進、疾病予防・治療において、統合医療の視点は不可欠。そのために科学的根拠の解明を進展させなければならない」。
【渥美理事長からのお話】
- 米国をはじめアジア、インドなど海外各国が統合医療を導入している事例を紹介。
- 今後取り組むべき課題として、安全性や有用性および経済性の総合的な研究を行うべきとし、そのなかで、とくに以下の3点を挙げ、国策として、人材育成と臨床研究を行える実践的な施設作りの必要性があることを唱えた。
- 統合医療の専門家を含めた国家戦略調査委員会の発足、
- 国内および諸外国における統合医療の現状調査、
- 立案、管理ならびにデータバンクとしての戦略的統合医療センターの設置