第73回良導絡自律神経学会報告(2022年11月6日実施)
名古屋大会 実演講演報告
2022年11月6日、名古屋市で開催された第73回良導絡自律神経学会名古屋大会において、身体均整法の実演講演を行いました。本大会では「統合医療の実演講演」という枠で登壇し、身体均整法の理論と技術、さらには統合医療への応用について紹介させていただきました。
身体均整法は、戦後の療術法制化運動の中で、創始者である亀井進が科学的根拠に基づく徒手療法を体系化した手技療法です。局所の症状に限定せず、全身のバランスを重視した独自のアプローチを特徴としています。その理論の中核を成すのが「三大原則」であり、これは関節を動かす可動性、それを支える強弱性、全体の安定を保つ平衡性という三つの機能を調和させることにあります。このような多層的な視点により、身体均整法は人間の身体運動を総合的に捉え、調整を図る手技療法として発展してきました。
さらに、姿勢や体型を12種類に分類した「12種体型学」も身体均整法の重要な特徴です。この理論に基づく施術は、個々の体型に応じたオーダーメイドのアプローチを可能とし、多様な体調不良や姿勢の問題に対応する手段となっています。
当日の講演では、まず身体均整法の歴史や理論的基盤について簡潔に説明した後、実演を交えながらその応用範囲を具体的に紹介しました。特に自律神経の調整については、身体均整法における独自の視点と技術を詳述し、参加者の皆さまに体験していただきました。良導絡自律神経学会の関心分野と身体均整法が交わるポイントを探りながら、相互に活用できる可能性を模索しました。
また、本大会には、身体均整法と良導絡の双方に関わりの深い伊藤樹史会長も出席されており、そのご厚情への感謝を改めてお伝えしました。伊藤会長には、身体均整師会学術顧問としての助言や、均整学園での解剖生理学の講義など、多岐にわたるご支援をいただいております。この場をお借りし、深く御礼申し上げます。
医療人類学のヘルスケアシステム理論に照らすと、身体均整法は民俗セクターを主軸に発展してきた療術業としての側面を持ちつつ、セルフケアや専門職セクターへの応用可能性も視野に入れた柔軟な技術体系を有しています。この汎用性が、本講演での注目点となり、多くの参加者からもご質問や感想をいただきました。
今回の講演を通じて、身体均整法が統合医療の枠組みにおいて、医学モデルと社会モデルの両面に貢献し得る可能性を再確認する機会となりました。本講演が、良導絡自律神経学会の皆さまにとって新たな視点やアイデアを提供し、今後の学術的交流や技術の深化につながることを願っております。
身体均整師会では、こうした学術大会への参加や情報発信を通じて、身体均整法の普及と統合医療への貢献を目指して活動を続けてまいります。引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
一般社団法人身体均整師会 会長 小柳弐魄